低侵襲・新治療開発による個別化癌医療確立

TOP

研究概要

COEメンバー

研究成果一覧

教育プログラム

COEX MEETING

幹細胞教育実習 space

SCAD

COEメンバー

事業推進担当者

COE特別研究教員

PD

若手研究者

研究員

RA

事業推進担当者一覧
吉村 泰典

吉村 泰典  (よしむら やすのり)

慶應義塾大学大学院医学研究科 外科系専攻 産婦人科学(産科学) 教授

e-mail : yasu@sc.itc.keio.ac.jp
URL : http://web.sc.itc.keio.ac.jp/obgyn/

研究成果

本研究では、子宮内膜、子宮平滑筋といった雌性生殖器官における成体幹細胞システムの基礎的解明とともに、臓器再生と疾患モデル構築の技術開発という応用面にも重点を置いて、研究を展開した。以下がその成果の概要である。

雌性生殖器官組織における幹細胞の分離・同定および幹細胞特性の解明

Side population(SP)法を用いて、子宮内膜と子宮平滑筋からSP細胞を純化・精製する方法を確立し、それぞれが未分化状態にあることに加えて、自己増殖能や多分化能といった幹細胞様特性を有することを明らかにした(Ono, et al., PNAS, 2007;Masuda, et al, in preparation)。特に子宮筋幹細胞については、子宮摘出患者の同意を得て正常子宮筋層を採取し,子宮筋SP(myometrial SP: myoSP)をFACSにて分離後、myoSPの多分化能について,骨・脂肪細胞分化マーカー発現とALP活性・O ilred O染色をそれぞれ指標に骨・脂肪細胞への分化誘導を in vitro で行うとともに、重度免疫不全マウスへ移植実験を行った。その結果、myoSPは in vitro で骨・脂肪細胞へ分化するとともに、 in vivoでは平滑筋様の組織を構築した。妊娠時,再構築された子宮筋組織においてオキシトシン受容体の発現が認められた。以上により、myoSPは組織幹細胞特性である多分化能および自己組織構築能を有するのみならず, 妊娠子宮の機能発現に寄与する可能性が示された(Ono, et al., PNAS, 2007)。

雌性生殖器官幹細胞を用いた臓器構築とその再生医療への応用

上述のとおりmyoSPが、重度免疫不全マウス子宮においてヒト子宮筋を構築する能力を有す上述のとおりmyoSPが、重度免疫不全マウス子宮においてヒト子宮筋を構築する能力を有することを示した(Ono, et al., PNAS, 2007)。さらに、重度免疫不全マウスの腎被膜下に少数のヒト内膜分散細胞を移植することにより、ユニークな血管新生を伴い、かつホルモン反応性変化を呈する内膜組織が再構築されることを示した(Masuda et al., PNAS, 2007)。さらに、その再構築内膜の振る舞いを、蛍光・発光蛋白マーカーを用いて、非侵襲的リアルタイムに観察可能なシステムを構築し、内膜再生モデルとしての有用性を示した(Masuda et al., PNAS, 2007)。

雌性生殖器官幹細胞を用いた疾患モデルの構築

上記のヒト内膜再生モデルマウスでは、内膜症病変に類似したマクロ所見を有する組織も構築されたことより、内膜症モデルマウスとしてのポテンシャルも有していることが示された。内膜症の発症・進展メカニズムの解明や内膜症治療薬の開発において有用な研究ツールになる可能性を示した(Masuda et al., PNAS, 2007)。内膜細胞あるいはその幹細胞から胚受容能を有するヒト内膜組織を再構築しin vitro着床システムの確立を目指しているが、その実験ツールとして、ヒト絨毛細胞株スフェロイド(胚に相当)と内膜腺上皮株を用いたin vitro着床モデルを確立した(Uchida, et al., Hum Reprod, 2007)。また、着床には内膜分化が必須だが、その分化を担う分子メカニズムを明らかにし、それを標的にした着床制御に必要な基盤データも得た(Shimizu et al, Biol Reprod, 2005; Uchida et al, Endocrinology, 2005;Uchida et al, Endocrinology, 2007; Nagashima et al, Endocrinology, in press)。


以上、本研究グループは、ヒト雌性生殖器官における成体幹細胞システムの基礎的解明とともに、雌性生殖器官再生に向けての基盤データを蓄積し、新しい生殖器疾患モデルの構築と臓器再生の技術開発をさらに推進することにより、現在の生殖医学・医療にブレークスルーとパラダイムシフトをもたらす研究を目指している。

COE内共同研究

  • ヒト子宮筋および子宮内膜由来幹細胞に関する研究(慶應義塾大学医学部生理学)
  • 免疫不全動物を用いたヒト組織幹細胞移植研究(実験動物中央研究所)
  • 初代ヒト子宮内膜細胞の不死化(中外製薬株式会社)

代表論文

  1. Ono M, Maruyama T, Masuda H., Kajitani T, Nagashima T, Arase T, Ito M, Ohta K, Uchida H, Asada H, Yoshimura Y, Okano H, Matsuzaki Y. Side population in human uterine myometrium displays phenotypic and functional characteristics of myometrial stem cells. Proc Natl Acad Sci U S A. 104:18700-5, 2007.
  2. Masuda H, Maruyama T, Hiratsu E, Yamane J, Iwanami A, Nagashima T, Ono M, Miyoshi H, Okano HJ, Ito M, Tamaoki N, Nomura T, Okano H, Matsuzaki Y, Yoshimura Y. Noninvasive and real-time assessment of reconstructed functi l human endometr i inNOD/SC(ona) ID/gammac null immunodeficient (u) mice. Proc Natl Acad Sci U S A. 104:1925-30, 2007.
  3. Uchida H, Maruyama T, Ono M, Ohta K, Kajitani T, Masuda H, TNagashima T, Arase T, Asada H, Yoshimura Y: Histone deacetylase inhibitors stimulate cell migration in human endometrial adenocarcinoma cells through upregulatiof glycodelin. Endocrinology 148:896-90(on) 2, 2007.
  4. Nagashima T, Maruyama T, Uchida H, Kajitani T, Arase T, Ono M, Oda H, Kagami M, Masuda H, Nishikawa S, Arase H, Yoshimura Y: Activation of SRC kinase and phosphorylation of STAT5 are required for decidual transformation of human endometrial stromal cells. Endocrinology 2008: in press.
  5. Masuda H, Okano.J.H, Maruyama T, Yoshimura Y, Okano H, Matsuzaki Y. In vivo Imaging in Humanized Mice. Curr Top Microbiol Immunol 324: 179-194, 2008.

<< 前ページへ

Copyright © Keio University. All rights reserved.

English Site KEIO UNIVERSITY